Hebiの日記

白い紙と暮らす日々

朱色の月

洗い髪をしばって、真冬の防寒具を着込み、「月蝕見に行ってくるね」と夫に言うと、珍しく一緒に行くという。カメラと双眼鏡を携えて、ふたりで家の前の駐車場に出た。見える見える、とふたりでささやきあううち、ご近所さんも子ども連れで出てきて、挨拶を交わしたりする。

ほとんど真上に浮かんだ月はおおかた欠けて、片方の縁だけが輝いていた。見あげている間に、全体がほの暗い朱色に沈み込む。歌には「盆のような月」 というけれど、今夜は渋い朱塗りの盆だな、と思う。

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息子が気になって早々に戻ると、豆電球のもとでは丸まるとした頬が、今夜の月と同じ色に染まっていた。